大道芸とは何だろう?大道芸人とアーティストとエンターテイナーの違いって判りますか?
世の中にはいろいろなパフォーマンスが存在するけど、この辺がわかるともっと大道芸が面白く見ることができます。
パフォーマーが何にこだわっているのか?
どうなりたいと思っているのかが見えてくる。
今が面白いパフォーマーを見るのも楽しいですが、その人がどう成長していくのかを見るのも楽しいものです。
その為に、今回の記事の内容がわかっているとより楽しく見ることができるはずです。
大道芸と一括りに言っても様々なものが存在する。
言い方も様々、大道芸・ストリートパフォーマンス・路上パフォーマンス・路上演劇・路上ライブ・パフォーマンス・ショー・エンターテインメントなど
演じる人の事を指す言い方も沢山ある。
大道芸人・ストリートパフォーマー・ショーマン・アーティスト・表現者・アクター(役者)・エンターテイナーなど
この中で大道芸とは、一体何なのであろうか?
一般の人が考えるものと行っている人との間に違いが存在する場合もある。
パフォーマー側からしても、大道芸と言いたい人と、大道芸とは言いたくない人、様々である。
また、なぜイベントのタイトルで大道芸とうたうのか?考えてみたいと思う。
僕は芸歴20年の大道芸人だ。
自らも大道芸人GEN(ジェン)と名乗っているくらいである。しかし、大道芸では無いショーを行うこともある。
『ハッピーメリーサーカス』では、大道芸で行うこともあるが、基本はエンターテインメントショーなのである。
だから『ハッピーメリーサーカス』の時はサーカス芸人GEN(ジェン)と言っている。
大道芸とはどのようなものなのだろうか?
単純なことから考えると、道や公園で芸を披露してお金を貰うものこれが大道芸である。
何を行っているかではない。ジャグリング、バランス芸、マジシャン、ダンサー、ミュージシャン、パントマイマー、書道家、ヘアスタイリスト、詩人、いろんな人が大道芸を行っている。
だが、路上でパフォーマンスしているのに、大道芸人ではない!と言い張る人もいる。
「ストリートパフォーマンスは行っているけど、大道芸人ではない!」どういうこと?
大道芸やストリートパフォーマンスを行っているものすべてが大道芸人というわけではない。
明確な定義はないが、 分かりやすく考える為にミュージシャンを例に出してみる。
音楽や歌を聞かせてギターケースや帽子にお金を入れてもらっている人は間違いなく大道芸を行っている。と言える。
ところが、CDやライブチケットやグッズを売ってはいるが、投げ銭やお気持ちやハットマネーやチップの類は受け取っていない。
だから大道芸では無い。私はミュージシャンだ!という人もいる。
僕自身はこれは正しいと思う。
ミュージシャンやアーティストが何を目指しているのか?
どこにプライドを持っているのか?によって大道芸と言いたくない人はいるはずだし、いても良いと思う。
パフォーマンスを行ってる人においても同じことが言える。
道や公園で芸を披露していてお金を取らない人は、そうそう見た事がないがこういった行為を行わないで、イベントや依頼に基づいたパフォーマンスしか行っていないパフォーマーも存在する。
この人達を果たして大道芸人と呼んでいいものなのか?
本人達からすると、恐らくは呼んでもらいたくないのだと思う。
たが、もちろんこういった人達も大道芸を行う事もある。
例えば大道芸フェスティバルから出演依頼があれば出演して大道芸を行う事は多分にして有り得る。
だけど、大道芸人だと呼ばれると違和感かあったり、嫌だ!という人も多い。
また、その逆もある。
大道芸イベントなのに投げ銭NGってどういうこと?
僕から言うと、大道芸イベントだと言うのになぜ投げ銭をとっては行けないのか?疑問に思うことがある。
もちろん投げ銭NGの場所は沢山存在する。
そんな時、イベントタイトルはどうしますか?と、ちゃんと聞いてくれるイベント会社もある。
そんな時、僕のパフォーマンスであるならば、『サーカスコメディーショー』『アクロバットコメディパフォーマンス』などの名前を使ってもらう様にして大道芸とは言わないで貰っている。
大道芸であるならば、『投げ銭を貰うための駆け引き』これも楽しめるように作っている。
このショーで投げ銭部分だけ外すといまいち盛り上がりや面白みにかけてしまうのだ。
逆に投げ銭NGの場所でショーをする時はお金のにおいを感じさせないエンターテインメントショーにする必要がある。
微妙にではあるが、違いがあるのである。
おそらくこれは、様々なパフォーマーに出演してもらっているイベントで、どういったらお客さんにわかりやすく伝えられるだろうか?と考えた結果、いろんなジャンルが存在し、近年盛んに行われるようになってきてイメージが付きやすい『大道芸』という言葉を使った方が、客を呼べるだろう。と思った結果ではないだろうか?
ストリートパフォーマンスではあるけど、大道芸でないものってあるの?
舞台を道や公園に戻してみよう。
先程道でお金を取らないパフォーマーは見たことないとは言ったが、存在はする。
みんなが聞いたことがあるような有名な所では、フラッシュモブもそうである。
また、劇場や舞台の宣伝の為のパフォーマンスなどもそうだ。
ストリートパフォーマンスではあるが、大道芸では無い。
ストリートパフォーマンスの中にお金を求める大道芸と、その場でお金を求めないパフォーマンスが存在するのだ。
これって大道芸?
もう少し枠を広げてみよう。
実演販売はどうなのか?
実演販売も路上で行う事がある。
これは違うだろう!と、声が聞こえてきそうだが、よく考えると、実演販売員の人を引きつける面白いトーク、実演する時の技術どちらも1級品の人が存在する。
これは明らかにパフォーマンスなのである。
もし売っているものがジャグリング道具だとしたら・・・と考えるとイメージは着きやすいのでは無いだろうか?
しかもその場でお金を求めている。
だがこれはやはり大道芸では無い。
では大道芸人やパフォーマーと実演販売員とは何が違うのだろうか?
大道芸人やパフォーマーは演じている人が主役なのである。
実演販売員は商品が主役なのである。
これは大道芸人が実演販売を行ったらどうなるか考えてみたら分かる。
きっと人は集まるだろう♪
笑ったり拍手したり盛り上がるだろう♪
しかし、商品のイメージはほとんど残らないと思う。
皆さんのお気に入りのパフォーマーがどこのメーカーのなんという商品を使って芸をしているか知っているであろうか?
他の道具と比べて何が良いのか分かるだろうか?
そう考えてみると良い。
だが、共通していることもある。
パフォーマーが自分を引き立たせるために・・・
実演販売員が商品を引き立たせるために・・・
両方で使っているのが技術なのである。
パフォーマーで考えると、技術が主役なのでは無く、パフォーマー個人が主役だということである。
大道芸って、技術より個人の魅力のほうが大事なの?
技術ばかり凄くて個人が出ていないパフォーマーも世の中には沢山いる。が、それを否定しないで欲しい。
自分を前に出すのが先か、技術を身につけるのが先か順番が違うだけなのである。
自分を引き立たせるために事に長けている人はデビューは早いが、技術畑の人より技のレベルが低いことはよくある。
逆に技術はあるけど、面白くないという事もよくある。
得意な方から伸ばせば良いだけなのである。
最終的に両方必要なのは間違いないが、50%&50%である必要も無い。
まだまだ発展途中なだけなのである。
技術の習得には年齢的な制限もある。
僕もアクロバットに関しては34までは技術習得の方に趣きを置いた。
(*´-ω・)ン?大道芸とは?という話しだった( ̄▽ ̄;)
ついつい脱線して熱が入ってしまうのが僕の悪い癖である。
いちど整理!
ここまでを軽くまとめてみると、
大道芸とは、路上や公園などで投げ銭を貰うことを目的としたパフォーマンスである。
このお金の貰い方は、商品を売って収入を得るのではなく、己の魅力を見せて(きかせて)それに対価を払ってもらうものである。
こう言いきれると思う。
大道芸人とアーティストとエンターテイナー
大道芸人とアーティストは何が違うのだろうか?
これは僕自身が『GちょこMarble』を行っていた時に大道芸人としてのショーと、アーティストとしてのショーを使い分けていたので、自分の経験談で話してみたいと思う。
大道芸人とは、最終目的がお金なのである。
お金を稼ぐために盛り上げ、笑わせ、楽しませる。
これを行った結果人を引きつける面白くて楽しいエンターテインメントショーが出来上がる。
一方アーティストは自分が納得行く作品や表現や内面を磨き続けているのである。お金や観客はその結果着いてくるものなのである。
もう一つエンターテイナーとは何かについても触れておこう。
これは大道芸人とアーティストで考えると、どちらかと言えば大道芸人寄りだと思う。
面白いショー、楽しいショーなどを作る目的がショーを売るためであったり、人を集める為、であったりするのだ。
この3つを軽くまとめてみよう。
大道芸
お金が目的でその結果人を楽しませ、人を引きつける魅力的なショーができ上がる。
(お金を目的としているので、仕事として成立する。)
エンターテインメント
観客を楽しませたり共感できる人が多いショーを作って、そのショーを売ることが目的。(売れるショーを作ることが目的)
(ショーを売ることが目的なので、これも仕事として成立する。)
アーティスト
自分の表現が目的で、その結果観客やお金が着いてくる。
(表現活動を優先していて、お金は二の次なので、仕事として成立していない人もいる。)
だが、これらは現実的には複雑に絡み合っている。
アーティストが大道芸の要素を取り入れていたり、
エンターテインメントショーにアーティストや大道芸人が参加していたり、
大道芸人の中にもエンターテインメントショーが好きでそっちよりに構成していたり、ここだけは譲れないと、アーティストとしての一面を持っていたりする。
もちろん僕自身も全ての要素が絡み合っていて、どれか一つ選べと言われると困ってしまう。
その為、大道芸アーティストと、名乗ることもある。
まとめ
それぞれのパフォーマーが何にこだわり、どういったところにこだわっているのか?
ざっくりジャンル分けできるところを書いてみたけど、もちろんこれだけですべてを説明することは不可能である。
だけど、こういったことをわかってパフォーマンスを見ていると、今まで気が付かなかった新しい魅力が見えてくるはずである。
僕自身この考え方をするようになってから、今まで興味がなかった人が面白くなったり、若手パフォーマーが何を目指しているのか?どうなりたいのかを考えてアドバイスや指導していくことができるようになった。
初めて間がないであろうパフォーマーのショーを見た時、つまらないと思ってバッサリ切ってしまうのは簡単なことです。
ですが、その人がどうなりたいのか?
何にこだわっているのかを想像するのも楽しいし、何に悩んでいるのかも見えてきます。
どう成長していくのかを見ていくことは、楽しいものです。
大道芸をはじめとするパフォーマンスが好きになる人が一人でも多くなっていくことを願って今回の記事を書いてみました。
GEN(ジェン)
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